炭水化物抜きダイエットを勧めない理由
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はじめに
炭水化物を抜いたダイエット法による体重の減少は一時的であり、健康的な身体作りには適していません。そこで今回は、炭水化物抜きによるダイエットのリスクやおすすめできない理由を管理栄養士に伺いました。
炭水化物を減らすことで体にどんな変化が起こる? 体重が減るのはなぜ?

炭水化物の働きとは?
炭水化物は三大栄養素の一つで、糖質と食物繊維で構成されています。糖質1gで4kcalのエネルギーになり、吸収効率が早いため身体を動かすための主なエネルギー源となります。炭水化物が多く含まれている代表的な食べ物は、主食である米やパン、うどんやそばなどの麺類、ジャガイモやさつまいもなどのイモ類です。
炭水化物を減らすと体にどんな変化が起こるのか
必要以上の炭水化物(主に糖質)の摂取は、脂肪を蓄積する原因となります。一方で、炭水化物を減らすことは脂肪の蓄積の抑制だけでなく余分な水分が体の外に排出されます。しかし、炭水化物はエネルギー源であるため、過度に減らすと集中力低下や筋肉の分解、身体への不調を招きます。
筋肉が分解される?

糖質からのエネルギーが生成できない場合、体内に蓄積されている脂肪や筋肉を分解してエネルギーを作り出します。とくに筋肉は、脂肪よりも20%ほど重いので、効率よくエネルギーとして使えるため、分解されてしまいます。
体内の水分が減るのはなぜか?
糖質は水分と結合した形で存在し、体内の水分量を保持しています。炭水化物の摂取を控えることで、体内に余分な水分が保有されず、一時的にむくみが取れたような体になります。炭水化物を抜いた食生活を始めた当初に体重の減少が見られやすいのは実は水分が抜けただけであり、ダイエットが成功したと感じる理由にもなります。
炭水化物抜きダイエットを勧めない理由

炭水化物を抜くことで、身体に必要なエネルギーを生成することができなくなるためです。糖質の代わりに、脂質や筋肉が分解されるため、筋肉の低下につながります。また、炭水化物を摂取しないことで食物繊維の摂取量も低下するため、腸内環境が悪化し、便秘の原因になります。
食物繊維=炭水化物のひとつですので、炭水化物を減らすと必然的に食物繊維摂取量が減り、便秘を引き起こします。
食物繊維には、水に溶け便通の流れをよくする水溶性食物繊維と水に溶けず便をまとめる不溶性食物繊維があります。これらが不足すると腸で便をまとめられず、腸への刺激が弱まり蠕動運動が起こりにくくなります。
そして、水分量の不足で、スムーズに排便を促せず、便が腸内に滞るため便秘になります。
さらに、炭水化物抜きダイエットを長期間継続すると、身体が飢餓状態と判断してしまいます。その結果、ほんの少し炭水化物を食べただけで、体に脂肪として蓄積しようとしてしまいます。
なぜなら、血糖値を下げるインスリンは、余分な糖を筋肉に蓄積するグリコーゲンや脂肪に蓄積する中性脂肪の合成を促進しますが、飢餓状態では脂肪の蓄積が亢進するからです。
糖質制限ダイエットが流行る理由とは?

糖質制限ダイエットは、食事全体の量を減らすカロリー制限のダイエットよりも手軽に感じるためではだといわれています。満足のできる食事の量や、たんぱく質源になる肉類の摂取が可能なため、ストレスなくダイエットできると、女性を中心に人気になりました。しかし、炭水化物抜きダイエットの効果は一時的であり、3カ月程度続けると体重が減らず挫折し、リバウンドに悩むという結果になります。
炭水化物を摂りながらダイエットは可能? おすすめの食材の選び方
炭水化物を制限しないダイエット方法は可能なのか
炭水化物を完全に抜いた食事をするのではなく、消費カロリーと摂取カロリーのバランスをとることがダイエットにおいて最重要です。
それに加えて、バランスのよい食事内容にすることでダイエットの成功確率を上げることが出来ます。必要なエネルギー源になる炭水化物の量を摂り、単品にこだわるのではなくさまざまな食材を利用して食事量をやや抑えるダイエット方法がおすすめです。また、間食やアルコールの摂取量にも気を配りましょう。
炭水化物の1日の必要な量はどのくらい?
日本人の食事摂取基準によると、1日に必要な炭水化物の量はエネルギー源になる栄養素のうちの50~65%が目標量とされています。成人女性の推定エネルギー必要量である1日2000kcalの場合、250~325gの炭水化物が必要です。これはご飯150g程度のお茶碗で換算すると4~5杯分に相当します。米以外の食材にも、炭水化物は含まれているため、糖質の多いイモ類や砂糖の摂取には、注意が必要です。
血糖値が高い人の場合は?
食後血糖値の上昇を数値化したGI値が低い食材である低GI食品を選べば、血糖値の上昇を緩やかにして脂肪を蓄積する原因になる急激なインスリン分泌を抑制します。代表的な低GI食品は、玄米、大豆、そば、ブロッコリー、きのこ類、肉類、魚介類です。
炭水化物を摂りながらダイエットをする際の食事以外のポイント
エネルギー源である炭水化物を摂るなら、せっかくなので運動習慣を身につけましょう。厚生労働省は、筋肉トレーニングや有酸素運動を併用して息が弾み、汗をかく程度のスポーツやストレッチでの、週2~3回・週60分以上の運動を推奨しています。普段の生活で歩くことを意識し、階段で移動する、家でストレッチをするなど、自分にできる簡単な運動から始めてみましょう。